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 日本海から30km、長野県と新潟県の県境に位置する関田山脈は、かつて信州と越後の人々の生活や文化を結ぶ交通の要所として16もの峠道を有していました。
  標高約1,000mのこの山脈は、冬には積雪が8mを超える豪雪地帯であり、様々な歴史と手つかずの自然が今もなお残されている里山には、国内でも貴重な、原生に近い状態のブナ林や植物などを見ることができます。この豊かな森が村人の生活を支え、村人はその恩恵に感謝し、今日まで森が守られてきました。
 信越トレイルクラブは、長野・新潟両県の9市町村(2006年1月現在)の境界にまたがる「信越トレイル」(総延長80km)の豊かな自然環境を保全しながらトレイルを整備し、自然と人とのかかわりを後世に伝えていくことを目的として活動しています。
  近年、健康ブームの高まりとともに、歩くことの大切さや楽しさが再認識され、登山者の数が増加していますが、山頂を目指す登山ではなく、森の中で動植物と出会い、豊かな自然を肌で感じながら歩く“トレッキング”に主眼を置いたルートは、これまで日本国内においてあまり存在しませんでした。私たちは、「信越トレイル」が、歩く楽しさを広げるトレッキングルートとして、また日本の豊かな自然のシンボルとして、より多くの人々に愛され、継承され続けることを願っています。
 
 関田山脈の斑尾山から天水山までをつなぐ「信越トレイル」の豊かな自然・生態系を守っていくためには、多くの人々の絶え間ない努力と共通した思い、そして境界などにとらわれない固い絆が必要であると考えています。元来、境界とは人間が土地を管理するために定めた単なる線にすぎません。自然界においての境界線など存在するはずがないのです。
 関田山脈の生態系の中にある「信越トレイル」という一本の道が9市町村をつないだ時、自然を愛し、トレイルを愛する人々の心は境界を越えてきっと一つになることでしょう。
 
 
 私たちは、厳しい気象条件で逞しく生き続ける関田山脈の自然を、多くの人々が愛し、楽しむことを望んでいます。しかし、人間が自然の中に入り込むことは、少なからず影響を与え、壊れてしまった自然を取り戻すためには、その何十倍もの時間と労力を要することを認識しなければなりません。
  そこで信越トレイルクラブでは、関田山脈一帯が何十年、何百年後も同じ姿であり続けるために、自然にやさしいトレッキングルートの整備と、環境の保全に協力・賛同いただける方を広く求めることにいたしました。私たちの「いのちの源」である森を守るために、あなたの力が必要なのです。さあ、私たちと一緒に美しい森を歩き続けましょう!
信越トレイルクラブ 理事
加藤 則芳(かとう のりよし)
 信越トレイルクラブは、二つの意味において画期的なNPO団体です。ひとつは、新潟と長野にまたがる9の市町村を貫く信越トレイルを、そのすべての市町村と近隣の町の協力を得て作ろうとしていることです。ふたつめは、利用者や地域、子どもたちなどのボランティアの力によって維持管理していこうとしている点です。魅力溢れる自然はもちろん、この優れた理念と姿勢にひかれて、わたしも積極的に協力させていただいています。
作家/バックパッカー
NPO法人信越トレイルクラブ理事/NPO法人日本トレッキング協会常任理事/環境文学会 会員

1949年埼玉県に生まれる。大学卒業後、出版社勤務を経て執筆活動をスタート。1980年に八ヶ岳に移住し、自然保護の父と呼ばれるジョン・ミューアの研究に打ち込み「森の聖者ー自然保護の父ジョンミューア」(山と渓谷社・小学館)や「ジョンミューアトレイルを行く」(平凡社)など多数の著書を著す。近年は日本のロングトレイルをテーマに長距離自然歩道を含む日本のロングトレイルも探し、歩いている。10年来暖めていたアパラチアン・トレイル3,500kmの一挙踏破(スルーハイク)の夢をかなえるべく、2005年4月3日にジョージア州スプリンガー・マウンテンを出発し、同年10月6日に無事メイン州マウント・カタディンに到達した。

加藤則芳氏オフィシャルサイトBackpacker's Almanac  http://www.j-trek.jp/kato/
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